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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第10章 雨の朝(あした)
 三寅という幼名は寅の年、寅の日、寅の刻に生まれたがゆえに命名されたとか。わずか一歳で京から鎌倉に下り、尼御台政子の手によって大切に育てられた。
 その間、幕府は未曾有の危機に晒された。後鳥羽院が企てた承久の乱がそれである。かねてから幕府の専横を快く思っていなかった院は時ここに至り、倒幕の兵を挙げた。その時、鎌倉武士は動揺し、幕府内は混乱の極みにあった。
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