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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第10章 雨の朝(あした)
「こちらへ」
 逆らうこともできず、楓はそろそろと膝をいざり進める。尼御台さまに近づくなど、あまりにも畏れ多く、それ以上は到底、近づけるものではない。しかし、政子はあっさりとその千種との距離を縮め、自分から近づいてきた。
 気が付けば、千種はその手を政子に取られ、握りしめられていた。
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