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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿

意に添わぬ身代わりとしての日々、更に逢う前から良人に拒絶される―、あまりの過酷な環境に、千種の心身も限界が来たらしい。もちろん、新婚初夜となるべき夜、布団の外で寒さに震えながら惨めな気持ちで朝を迎えたことも大きな原因には相違なかった。
賑々しい祝言の数日後、千種は突如として高熱を発して寝込んだ。周囲はそれはもう大変な騒ぎになった。千種が本物の紫ではないと知るのは、紫の身近に仕えていた身分の高い侍女数名と幕府内では執権北条泰時とごく一部の重臣のみだ。
賑々しい祝言の数日後、千種は突如として高熱を発して寝込んだ。周囲はそれはもう大変な騒ぎになった。千種が本物の紫ではないと知るのは、紫の身近に仕えていた身分の高い侍女数名と幕府内では執権北条泰時とごく一部の重臣のみだ。

