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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿

侍女たちはまさか庭を眺めようと部屋を出る寸前だった千種が廊下の曲がり角のすぐ向こうにいるとは、想像さえしていなかったろう。
よろめきつつ自室に戻った千種はそのままくずおれ、寝ついてしまったのだ。
千種の身に何かあれば、今度こそ替え玉はいない。そのせいもあるのか、身の回りの侍女たちは神経質と思えるほど、千種の体調には気を遣った。この病臥はむろん、尼御台政子をも殊の外案じさせたと見え、寝込んだ翌日、政子が自ら訪ねてきた。
よろめきつつ自室に戻った千種はそのままくずおれ、寝ついてしまったのだ。
千種の身に何かあれば、今度こそ替え玉はいない。そのせいもあるのか、身の回りの侍女たちは神経質と思えるほど、千種の体調には気を遣った。この病臥はむろん、尼御台政子をも殊の外案じさせたと見え、寝込んだ翌日、政子が自ら訪ねてきた。

