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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
「黙(だんま)りを決め込んでおれば、この祖母(ばば)が困るとでも思うてか?」
だが、千種の脳裡では昨日、耳にしたばかりの侍女たちの噂話がありありと甦っていた。
―今度は普通なら、あり得ない政略結婚で望みもしない女とくっつけられるんだもの。
―第一、私が御所さまだったとしても、十六も年上の姉さん女房なんて、抱く気にもならないと思うわ。
思い出すまいとすればするほど、あの言葉が耳奥で途切れることなく蘇ってくるのだ。