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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
 男が再び手を伸ばしてこようとしたまさにその時、鋭い一喝が二人の間に割って入った。
「止さぬか!」
 凜とした声音と共に現れたのは、背の高い男だった。愕いた千種と大男がほぼ同時に声の主を見やる。
「か弱き女人一人に大の男が昼日中から狼藉を働くとは、許しがたい」
 まだ若い男らしく、均整の取れた引き締まった身体は無駄に縦も横も大きい蛸入道とは対照的だ。
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