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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿

うららかな春らしい穏やかな陽光降り注ぐ中、ひらひらといずこから流れてきたものか、薄紅色の花びらが二人の間を漂っていく。
それにしてもと、千種は男を見つめた。年の頃は二十歳前後だろうか。老成した雰囲気を纏っているが、落ち着いた表情の合間に時折覗く素顔はまだ少年の面影を濃く宿している。もしかしたら、大人びた見かけよりは少し若いのかもしれない。
男が身分のある武士なのは明らかであった。上等の直垂(ひたたれ)は渋みがかった緑だ。男の清冽で端正な風貌をよく引き立てている。
それにしてもと、千種は男を見つめた。年の頃は二十歳前後だろうか。老成した雰囲気を纏っているが、落ち着いた表情の合間に時折覗く素顔はまだ少年の面影を濃く宿している。もしかしたら、大人びた見かけよりは少し若いのかもしれない。
男が身分のある武士なのは明らかであった。上等の直垂(ひたたれ)は渋みがかった緑だ。男の清冽で端正な風貌をよく引き立てている。

