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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
が、普段、命令することしか知らない男が懇願するような必死さで頼んでいるのにも心動かされた。何より、千種自身が彼ともう少し手を繋いでいたいという想いを振り払えなかった。
そこまで考えて、千種は真っ赤になった。
私ってば、何をはしたないことを考えているの!
形ばかりとはいえ、自分には頼経という良人がいる身ではないか。なのに、見も知らぬ男に出逢ってすぐに胸をときめかせるなんて、恥知らずも良いところだ。