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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
 どう応えるべきなのか判らない。許婚だときっぱりと宣言され、どこかでもくすぐったいような嬉しいような気持ちもあったからだ。だが、良人のある身で所詮、それは許されぬことでもある。千種は、とんちんかんな返答をし、男が笑った。
「どうしてかな、あの小間物屋がそなたに色目を使うのを見るのが腹立たしくてならなかったのだ」
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