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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
 しばらく沈黙があった。何か機嫌を損ねることを言ってしまったのかと千種が不安になり始めた頃、男が呟いた。
「私自身がそうだからだ」
「え―」
 思いもかけぬ話の展開に、千種はついてゆけない。
「それは、どういうことなのでしょうか?」
 これ以上、鈍い女だと思われたくはないけれど、本当に科白の意味が判らないのだから仕方ない。
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