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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
「つまぬ話であろう? このような話をしても、女人は歓ばぬな。何ゆえ、私は女に気の利いた科白一つも口にできないのか」
 男が自嘲するように言った時、千種は微笑んだ。
「そのようなことはございません。私もあなたさまと同じように思います。例えば、私がこの世からいなくなっても、あなたさまはここに来れば変わらぬ海を見ることができましょう。私があなたさまの傍から消えたしても、由比ヶ浜も鎌倉の海も空も何一つ変わりませぬゆえ。やはり自然は偉大だと思います」
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