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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
「そなたを妻として迎えたい。だが、私には既に親の決めた妻がいる。仮にそなたが私の許に来てくれたとしても、正式な室として迎えることはできない。申し訳ないが、側室としてしか迎えられぬ。だが、これだけは信じてくれ。妻とは形だけの夫婦なのだ。そなたを迎えることができれば、私の心はそなただけに与え、他の女は傍に置かない」
刹那、落胆が由比ヶ浜に打ち寄せる波のように千種の心を満たした。
「そう―なのですね」