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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
天皇家に最も近いといわれる摂関家の子息として生まれ、幼くして鎌倉に下って将軍となった貴公子であり、千種が河越康正の娘として過ごしていたならば、生涯近づくこともできない尊き身の人であった。
何の因果か、数奇な運命で紫姫の身代わりとなり、千種であることを棄て〝源鞠子〟ととして生きることになった。だが、竹御所という尊称も鞠子という名もすべては紛いものにすぎない。そのことを当人である千種が誰よりも知っている。