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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
―我らが初めて出逢った場所で。
 十日前、彼はそう告げて去っていった。時間は朝の早い中とだけ言われていたので、千種は自分でもいささか滑稽だと思えるほど早くに御所を抜け出してきたのである。
 万が一、時間に遅れて彼に逢えなかったときの落胆を思えば、待つ時間など何ほどのものでもない。
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