この作品は18歳未満閲覧禁止です
一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
いつもは滅多ことで取り乱さぬ茜が興奮した面持ちで告げた。
「今宵、御所さまからお召しがございました。尼御台さまがおん直々に御所さまをご説得なさったと聞き及びおります。御台さまもそのおつもりで、これより湯浴みしていただきます」
千種の腕から後生大切そうに抱えていた花束がバサリと音を立てて落ちた。
良人頼経が今宵、御台所鞠子の寝所に渡る―、それが事実上の初夜になることを当人である千種が嫌というほど知っている。