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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
「先に床に入っていれば良いものを、震えているではないか」
 降ってきた声音は意外に思いやりに満ちたものだった。
「ずっと待っていたのか?」
 優しい声が近づき、千種の背中に手が回った。
―どうして?
 何故、いきなり頼経が自分の身体に触れてくるのか理解できない。しかも、戸惑う千種をよそに、背に回された手にはますます力が加わり、その強い力で抱きしめられた。
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