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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実

そう考えて、つくづく哀しい。以前は町に出ることがあんなにも愉しみだったのに、この差は何ということだろう。あの男が頼経、将軍その人だと知る前は、町に行けばどこかで彼(か)のひとと逢えるのではないかとひそかに期待に胸を高鳴らせていたものを。
今は狭い御所内でいつ頼経に出くわさないかと怯えたように暮らしている有様だ。
千種は今も頼経を嫌いではない。―というより、その気持ちに何一つ変わりなく好きだ。初夜に一方的に辱めのような行為を受けた今でさえ、恋い慕っている。
今は狭い御所内でいつ頼経に出くわさないかと怯えたように暮らしている有様だ。
千種は今も頼経を嫌いではない。―というより、その気持ちに何一つ変わりなく好きだ。初夜に一方的に辱めのような行為を受けた今でさえ、恋い慕っている。

