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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
 十六歳も年下の少年がまるで女の身体を取り尽くした男のように思える。物問いたげな視線に、彼は妖艶な笑みを浮かべる。
「そなたに触れられると気持ち良い」
「気持ち良い?」
 思わず零れ落ちた呟きは、到底三十二歳の女のものとは思えないほど幼く響き、千種は恥ずかしさで真っ赤になった。
 これでは歳ばかり重ねて、何も知らない女のようだ。もっとも男女のことに関しては、事実何も知らないけれど。
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