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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第13章 藤の舞
「あ―」
 千種は眼を見開いた。政子の瞳が柔和に細められる。
「ここまで申せば利発なそなたならば、理解できよう。環の優れた舞いや歌が御所さまの御心を動かし、おん手ずから扇を賜るということになったのよ」
 更に政子は笑いながら続けた。
「藤の前は藤の前でも、とんだ藤の前違いというもの」
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