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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第14章 身代わり姫の告白
「やはり背中からの眺めでは物足りぬか?」
 頼経が問うので、千種は笑って首を振った。
「いいえ、御所さまの背中から眺める鎌倉の海はいっとう美しうございます」
 長身の良人に負われると、海を見下ろす格好になる。小柄な自分の眼線と見るのとはまた異なり、それはそれで趣があった。
 頼経が空を仰ぎながら独りごちた。
「今年の夏も終わるな」
「はい」
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