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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第14章 身代わり姫の告白
 半ば戯れ言に紛らわせるように言い。長い睫を伏せ、しばらく鳴り止まぬ海鳴りを聞いていた。次に眼を開いたときの彼女の瞳に、もう迷いはなかった。
 頼経が笑いながら言う。
「そのような言い方をされると、かえって何を言われるかと心ノ臓に良くない」
 千種は淡く微笑んだ。
「申し訳ありません。ですが、これだけはどうしても今の中にお伝えしておきたいのです」
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