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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第14章 身代わり姫の告白
「御所さま」
 言えなかった言葉が涙となって流れ落ちる。涙を流しながら見上げた妻を頼経は近寄り、優しく抱き寄せた。
「今日という日を私は未来永劫、忘れることはないだろう。愛する女から、私への気持ちこそがいちばん大切な守りたいものだと嬉しい言葉を貰った。私は今はむしろ、尼御台さまに感謝しているよ。あの方がそなたを替え玉に仕立てなければ、私はそなたと出逢えなかった」
 頼経は最後は冗談のように言い笑った。
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