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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第20章 二度と逢えぬさだめなれば
 時繁が辞して幾ばくも経たぬ時、徳子は突如として立ち上がった。
「女院さま?」
 驚いた右京を尻目に、徳子は立ち上がり法衣の裾を翻して小走りに居間から出た。
 短い階を降りて苔むした庭をひた走る。降り積もった雪の冷たさも今は少しも気にならなかった。
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