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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第22章 涙の旅立ち
「あなたを連れて逃げるなんて、天地が割れてもできないってことも、俺たちがこの世が続く気限り夫婦(めおと)にはなれないことも」
 でも、諦め切れない。
 はきとは口に出せなかった呟きが儚く風に散って消えた。
 瑶子から一段と烈しい嗚咽が洩れた。
「だって、私は幕府に捧げられる生贄なのだもの。私が逃げたりしたら、お父さまや皆に迷惑がかかってしまう」
「瑶子」
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