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笑うことしか出来ない私へ
第3章 優しいフリ

「…?」

「………。」

「それよりいちこ、風呂に入らないと風邪引くよ。
俺は帰るからさっさと体を休めろよ。」

「…帰るの?」

「帰るよ。」

「まだ一緒に居たい。」

私は帰りたがるこうたに
勇気を振り絞った。

「いちこは俺を誘ってるの?」

「え…、、そういうんじゃない。」

ゴモゴモと喋る私に対して
何か悟ったかのように深い溜め息を吐いて

「分かった分かった
とりあえずまず風呂に入れ。
待っててやるから。

そんな濡れた体でいつまでも居るな。

後、さっきから手!」

こうたは手首を掴む私の手を見た。
私は、はっとして
迷惑だったのかと今さら気にし出し
離した。
するとこうたは私の手を握り
「冷てぇーんだけど。」
ただ一言だけこう言った。

繋がれた手を見て
今まで感じた事のない感情が沸いた。

嬉しくてドキドキしているけど
苦しくて切ない感覚。

なぜかそこに寂しいという思いも。



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