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笑うことしか出来ない私へ
第6章 好き
久し振りに涙を流した。
久し振りすぎて止まらない。
こうたには確実に嫌われた…
「辛かったな…」
「…も、う嫌いになった?」
「嫌いじゃないよ。俺も好きだよ。」
そう言いながら
私を宥め、頭を撫でて
力強く抱き締めてくれた。
「本当?」
「本当だよ。」
涙も嗚咽も止まらなくて
ずっと誰かに聞いて欲しかった。
でも、誰にも言えなかった。
だから20年以上も一人で抱えてた。
「ずっと、我慢してたんだな。」
「うん…。」
「もうなんも怖くないだろ?
大人になったんだから。
いちこはしっかりしてるよ。」
「う、ん。」
「死ぬ必要もないし
怯える必要もない。」
「うん…」
私はもううんとしか言えなかった。
こうたがあまりにも私が欲しい言葉をくれるから。
私から言わなくても分かってくれていたから。