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片想いの行方 2
第12章 叶わない願い
「……なぁ、美和」


再び体を起こして、私の胸元にキスを落としながら、ヒメがふいに口を開いた。


「どんなに願っても、絶対に手に入らないものがあるとしたら
……お前だったら、どうする?」

「……え……?」


突然のヒメの質問にびっくりして、今の言葉をもう一度頭の中でリピートする。

ヒメは顔を上げると、私の目を真っ直ぐ見つめた。


「……絶対に手に入らないもの……?」

「そう、既に誰かの手に渡っていて、それを自分のものにすることは出来ない。
世界に1つしかないから」

「それって……
限定品とか、そういった類の話?」

「……まぁ、そんな感じ。
欲しくて欲しくて堪らねぇんだけど、金や力じゃどうにもならなくて。
例え……無理やり奪うことが出来たとしても、手にした瞬間に壊れちまう」

「…………?」


手に入れても壊れてしまうから、絶対に自分の手に入らないってこと……?

急にそんな話をされた理由も

その質問の真意も分からないけど

ヒメの目が真剣だから

私は少しの間沈黙した後、じっとその瞳を見つめ返した。


「……その欲しかった物を受け取った人が
生涯ずっと大切にしてくれますようにって、願うかな……」

「…………!」

「それでも、きっと想いは簡単には消えないだろうから……
誰にも知られない所でそっと取り出して、両手で包み込む幸せを感じたいな。
……夢の中だけでいいから……」
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