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片想いの行方 2
第12章 叶わない願い
話をしながら、去年までの自分を思い出す。

……一条さんへの償いを続けていた、出口の見えない日々。

私が欲しかったのは “ 物 ” ではなくて、“ 巻き戻したい時間 ” だったけど

その願いが叶うことは無いと思っていたから

夢を見てる間、その空想の世界に浸ることで

現実に背を向けて生きていたんだ。


「……ヒメ、ありがとう……」


……あれからもう、3ヶ月近く経った。

今でも感謝の気持ちは心に溢れていて、何度も彼にその想いを伝えたくなる。


「私の場合……手に入れたって感覚ではなくて……
かけがえのない大切な日常を、ヒメが私に与えてくれたの」

「……………」

「そして……何よりもヒメが私の傍にいてくれる。
私、本当に幸せだよ」


……質問の話とずれちゃった。

そう思いながらも両手を伸ばして、ヒメの頬を包み込むと

ヒメは優しい眼差しで私を見つめた後、そっとキスをしてくれた。



「それは、こっちのセリフ。

つーか、心臓ブチ抜く言葉連発するんじゃねーよ」


「……ヒメ……」


「お前のことはよく分かってるから、心配するな。

毎回言わなくても、俺にはちゃんと伝わってるから。

……これからは、夢に何かを求めなくていいんだよ」
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