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片想いの行方 2
第12章 叶わない願い
……その笑顔を見て、完全に思い出した。

会社から実家までの路線上に渋谷店があるから、帰りがけに途中下車して寄っているんだ。

すらっとしたモデルのような彼女は1番目立っていたから、店長さんだって気付いていたけど

声を聞くのも、こうして近くで話すのも初めて。


「何回か……お店にお邪魔しているんです」

「そうなんですか!?
声かけてくれたらいいのに~」

「本社勤務ですって言ったら、気を遣うかなぁって思ってて……」

「あはは、まあ確かに♡
でも、あたしは気にしませんよ~」


彼女はニコニコしながら、私の斜め前の椅子をひいた。

気取らないフランクな感じが、好印象でとっても心地良い。

麗子さんみたいにサバサバしてるのが、この短時間だけでも分かるなぁ。


「……会議もねーのに、なんでまた本部に来てんだよ。
売上悪いから呼出しか?」


彼女が椅子に座ると同時に、ヒメが低い声で口を開いた。

………!

そうだ、一瞬忘れてた。

彼女、さっき “ ヒメ ” って………


「違うよ、失礼だな。
1年の契約期間を経て、今月から晴れて正社員になったの」


テーブルに置いたボディバッグから、A4の封筒に入った書類を取り出して

彼女はそれを私とヒメに向かって、ひらひらと揺らしてみせた。
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