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片想いの行方 2
第13章 5分の差
「…………!」


メールの差出人の名前を見て、コーヒーをテーブルの上に置く。

ヒメと同学部の友人であり、4年間水泳部のマネージャーをしていた仲間。

そいつからの久しぶりのメールを見て

俺の指は無意識のうちに、ヒメを後回しにすることに決めた。


「ヒカル!」

『………うわ、いきなり?』


素っ気ない掠れ声も、当時のまま。

とはいっても、就職してからも水泳部のメンバーとは何回か集まってるし、約1年ぶりってところか?

メールした直後にかかってきた電話で、ヒカルは少し戸惑っているようだった。


「昨日シアトルから帰ってきたばかりなんだよ。
タイミング良かったな」

『へ~。
相変わらず飛び回ってるのね』

「ヒカルもそうだろ?」

『あたし蓮に言ってなかったっけ。
辞めたんだよ、転職したの』

「マジ?」


大学4年の春、大手旅行会社の総合職をヒカルが掴み取ったときは

柄にもなく、ヒメ達と一緒になって大はしゃぎしたのを今でも覚えている。

………転職したのか。

27にもなれば、男も女も色々と見えてくる時期だ。
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