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片想いの行方 2
第14章 行かないで
「……仕事の電話……?」

「……いや……」


美和の丸い瞳にじっと見つめられて、携帯をポケットにしまう。

4月でも夜風はまだ冷たい。

BARからコート無しで出てきた美和は少し寒そうで

俺は着ていたジャケットを脱いで、美和の肩に羽織った。


「何度も悪い、戻ろう」

「……でも
電話終わってないでしょ?」

「いや、いいんだ」


背中に手を回して、そのまま歩きだそうとしたけど

美和は足を止めたまま、そっと俺の腕に手を添えた。

何も言わずに、ただ真っ直ぐに俺の目を見つめる。


「…………」


………美和が何を言いたいかは分かってる。

滅多に自分から誘わない美和が、月曜以来ずっと俺に逢いたがっていて

今日は歌う日ではないけど、一緒に飲みたいと言った美和を、こうしてBARに連れてきた。


「………ヒメ」


人前でくっつくのを恥ずかしがる美和が

小さく俺の名を呼んで、そのまま胸に顔を埋める。


………電話をかけ続けてる相手が誰か、聞いてこないけど

震える手から、その不安が伝わってくるようだった。

ここ最近の自分の言動を思い返せば、当然か……
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