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片想いの行方 2
第14章 行かないで
美和から少し体を離して、携帯を取り出すと

蓮からの折り返しだと思っていた俺は、その着信画面を見て息を呑んだ。


「…………」


耳に押し付けた電話の向こうで、車のクラクションと風の音が響く。

その雑音に混じって、小さくすすり泣く声が聞こえた。


「………おい、どうした」

『………っ……ヒメ……』


いつもと違う弱々しい掠れ声。

それでも、微かな嗚咽の後で、その声はハッキリと続いた。


『……ごめん、ヒメ。
ひとつだけ、頼みがあるんだ』

「………頼み?」

『急に本社から呼び出されたって、蓮に伝えて』

「…………!!」

『お願い。
………こんな自分勝手な我儘
あたしの同僚で、蓮の親友のあんたにしか頼めない』


ドクッと心臓が鳴る。

……こんな時間に本部が呼び出すわけねーし

そんなの自分で言えよとツッコミたくなる依頼。


だけど

初めて聞いた涙声のヒカルが、そのまま電話を切ろうとしたので

携帯を握る手に、自然に力が入ってしまう。
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