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片想いの行方 2
第14章 行かないで
………………………………………………
BARのある20階から、エレベーターで下に降りていく。
ガラスの向こうに滲む、流れる夜景。
さっきまで激しく打ち続けていた鼓動が嘘のように、ぼんやりとその光の粒を眺める。
美和が押してくれた背中に、まだその温もりが残っていて
それでも、体は凍るように冷えていた。
「……最低だな……」
………自分の言動に反吐が出る。
蓮の名前を出せば
美和が引き留められないことくらい、充分予測できたのに
俺に向けた精一杯の笑顔の裏で
どれだけの涙を流しているか、手に取るように分かっているのに
“ ヒメが行かなきゃって思ったなら
きっとそれが正しいのよね ”
………違う。
俺が今本当にすべきなのは
美和の傍にいて、抱きしめてやることだ。
………それなのに