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片想いの行方 2
第14章 行かないで

RRRRRRRR………

エントランスを抜けて、ビルの外に出たタイミングで

もう一度携帯が鳴った。

歩きながら着信画面を見て……その名前を確認すると

ゆっくりと、耳へと運ぶ。


『俺の携帯、お前の着歴で埋まったぞ』

「…………」

『何の為の留守電だと思ってるんだ。
用件残せよ』


………いつもと変わらない、嫌味を込めた低い声。

やっと繋がったその電話の向こうから、同じく外であることを示す雑音が聞こえる。


『ヒメ? 聞いてるのか?』


タクシーが流れる大通りの手前で、俺は足を止めた。


「………蓮」

『お前のイタ電の5分後に、ヒカルから連絡があったんだ。
話があるからって会社の下まで来てて。
だけど今、降りてみたら……』

「ヒカルは悪くないんだ」


3日前、俺と美和を交互に見つめて

嬉しそうに笑ったヒカルの顔が浮かんでくる。



『………え?』


「憧れる相手は、姉貴じゃない。

だから、自覚が無いまま似ちまうんだよ」
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