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片想いの行方 2
第14章 行かないで
………誰にも気付かれないように
そっと離れた場所から蓮を見つめる、ヒカルの眼差しが
高校時代の自分にそっくりだった。
お互いが見えない距離にいて、違う時間を過ごしていれば
相手の幸せを遠くから願うことで
狂おしい程の強い想いでも、なんとか自分の心に閉じ込めることができる。
………だけど
寄り添えねぇのに、傍にいる程苦しいことはない。
彷徨ったまま吐き出せない気持ちは、募る一方で
相手が近ければ近い程膨らんでいく。
………そして
ヒカルの場合、同じように本心を隠した俺よりも
その痛みが大きかった。
……片想いをしている相手に
遥かに強い想いを抱えた、忘れられない人がいること………
過去の恋愛を一切語らず、周りからその真の心を覗く事はできなくても
蓮が時折見せる、切ない微笑み
………俺とヒカルだけは
分かっていた。