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片想いの行方 2
第16章 交代
「………早く、行きなよ」

「…………」

「ヒメってば」

「お前を1人にできねぇ」

「あたしもすぐに帰るから大丈夫だよ」

「信用できねぇ」

「……もう暴走しないから。
心配しないでいいよ」

「そーじゃねぇよボケ」


………お互い、再び無言。

暫くの間、2人して沈黙したままで

………こうして何も言わずに傍に居てくれるのは、正直嬉しい。

慰めの言葉は無くても、ヒメの温かい心が全身に伝わってくるようだ。

だけど、そろそろ本気で美和さんのことが心配になってきた。


「……ヒメ、いいかげんに……」


あたしが顔を上げた


その時



「そこの2人」



後ろから、低い声。



「突っ走ってんじゃねーよ。

お前ら両方とも、相手が違うだろ」



あたしとヒメが、同時に後ろに振り向くと


その男は、ふっと笑った。



「………ヒメ、交代だ」



街灯に照らされて、影がふたつ。

微笑んだ蓮と

その後ろから、顔を覗かせた美和さんが

あたし達を見つめていた。
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