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片想いの行方 2
第17章 幸せの花びら

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「あらぁ♡ 蓮くんいらっしゃ~い!
今夜は早いのねぇ~」

「…………」


国際フォーラムから徒歩5分。

ちょうど蓮の会社と中間くらいの位置。

オフィス街のビル群から1歩入った狭い路地に、その古い店は忽然と姿を現した。


「まだ残ってる?」

「もちろん!
今日はカレイの煮付けですよ~」

「じゃあそれ2つ。
両方ともメシ大盛りで」

「はいよ~」


白い割烹着を着たふくよかなおばさんが、蓮の注文を受け奥の厨房へと入っていく。

もう夜の11時を過ぎたというのに、店内は多くのサラリーマンでごった返してる。

10席程ある中の1番奥、木のテーブルと簡素なパイプ椅子に

あたしと蓮は向かい合って座った。


「……店員のおばちゃん。
今夜は早いって言ったけど……」

「いつも来る時はだいたい日付変わってるからな。
ここ、深夜までやっててさ」


テーブルに置かれていたプラスチックのコップに、水を注いだあと

蓮は緩めたネクタイを首から外した。


「徹夜の時は、1回腹に入れないと朝までもたないんだ」

「……普通そうでしょ。
夕飯食べないなんて、あたしには考えられない」

「ヒカル、いつも気持ちいいくらい食うもんな」


学生時代の時は、ほぼ居酒屋がメインだったけど

大学の周りには、このお店のような昔ながらの定食屋があったから

練習に明け暮れた水泳部の仲間で、よく食べに行っていた。


あの頃の蓮も、相当なオーラを放っていたけど

スーツを着て目の前に座る27歳の輝きは、眩しくて見ていられない程だ。


「ヒカル?」


それでも

あたしを見るその鋭い眼差しと、黒い短髪だけは変わらない。
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