この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
片想いの行方 2
第17章 幸せの花びら
………もう、いいんだ。
告白したからって、何かが変わるわけじゃないし。
逆に気まずくなって、友人としての関係まで失うなんてことになったら辛すぎる。
………大丈夫。
自分に言い聞かせた通り、諦めるって決めたんだから……
厨房を見たままのあたし。
その前で、テーブルの上にコトッとコップを置く音がした。
「ヒカル」
蓮に呼ばれて、目線を戻す。
「俺の心臓の音、聞こえる?」
「……は?」
………いきなり何言い出すんだ?
意味不明な言葉で思わず二度見。
すると、蓮はおもむろに自分の手を左胸に当てた。
「俺、今すげー緊張してるんだよ」
「……緊張? なに、急に……」
「何回も同じ場面を繰り返してきたけど。
今まででダントツ」
蓮はあたしの前で大袈裟に深呼吸をしてみせると、少年のようにニカっと笑った。
そのパフォーマンスは一体……
だからなんだっつーのよ……
「蓮、ごめん。
あんたの一人芸、高度すぎて理解できな……」
「俺から聞き出して、もし違ったら究極にダセーだろ」
「…………!!」
…………え?
「………なんてな。
このカンが外れないことは、もう分かってるんだ」
蓮は胸から手を外すと
さっきとは一転して、切なそうに微笑んだ。
「………鈍感な男を
演じきれない悪い男で……ごめんな」