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片想いの行方 2
第17章 幸せの花びら
「…………」


……相変わらず、綺麗に食べるなぁ……

箸で上手に魚の骨を取り除く、蓮の手先を見つめる。

そういや、こーいったところもヒメと似てるわ。

茶髪も黒髪も、男のくせにひとつひとつの仕草が上品なんだ。

女のあたしなんかよりもよっぽど……


「食えよ、冷めるぞ」

「……いただきます」


いつもみたいにがっつかず、ゆっくりと箸を入れる。

プリプリのカレイの身をパクっと食べると、口の中で甘みがじわ~っと広がった。


「……なにこれ、超旨い」

「だろ?」

「これこそおふくろの味だよ」

「あぁ、だからこんな夜中でも全部食えちまう」


冗談抜きで、この定食は本当に美味しいから

さっきまでのドキドキはどこへやら………あたしは夢中で食べ続けた。

そして

泣いて走った分、気力も体力も消耗していたからか

結局はいつもと同じペースでその定食を平らげてしまった。


「………いいね、ヒカル」

「………!」

「お前の食ってるとこ見てるだけで、なんか落ち着く」


気付いた時には、目の前で蓮があたしをじっと見ていて

その微笑みを見て、再び胸がドキンと高鳴ったけど

………満腹になったのもあり、あたしは穏やかな気持ちでその目を見つめ返すことができた。
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