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片想いの行方 2
第20章 フライングプロポー…ズ?
.。.:* side ヒメ *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*


「ヒメ隊長!私は美和です!」

「……………」

「ただいみゃ帰りま~したっ♡」


時計の針が0時を指して、ちょうど日付が変わった5月1日。

玄関のドアを開けると、美和が右手をビシッと額にあてて……俺に敬礼をした。

……すっげーヘラヘラして笑っている。


「……なんで連絡してこねーんだよ。
俺、迎えに行くって言っただろ?」

「え~だってBARから歩いて10分だよ~」

「1秒たりとも深夜に1人で出歩くな!」

「大丈夫だよ、私もう27だもん。
かまぼこだなぁ~ヒメはー♪」


………過保護だと言いたいんだろうが、言えてねーし誰のせいだと思ってるんだとツッコミたい。

クソ、やっぱり行かせるんじゃなかった。

姉貴の言った通り、女同士の飲みを美和が楽しんでいるならと、寛大な心で見送ったのがそもそもの間違いだったんだ。

ヒカルまで加わった魔会なんて死んでも行きたくねーし、何かあったらヤスに報告するように言っておいたけど

廊下の壁にガンガンぶつかりながら、千鳥足でバスルームに向かう美和の背中を見たら

ハラハラするなんて次元は超えて、奴らへの殺意が芽生えてきた。


「こんな泥酔状態にさせた挙句、放り出しやがって。
あいつらどんな神経してやが……」

「あのね、本当は優香さんと一緒に帰ってきたの」

「は?」

「短い距離なのに、マンションの前まで乗せてくれたの。
羊さんが、黒いベンツでお迎えに来てくれたんだよ~♡」


メリーさんがどうたらといった童謡を口ずさむ美和に続いて、脱衣所に入る。

……悪魔の方は、僅かながら人間の血が残っていたらしい。

美和の服を脱がせながら、とりあえず無事に帰ってきたことに安堵の溜息をついた。
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