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片想いの行方 2
第20章 フライングプロポー…ズ?
ドライヤーを止めてコンセントを巻く間に、美和はゴクゴクと水を飲んで

俺のTシャツをぎゅっと握りながら、ベッドに潜りこんだ。


「あのね、普段ヒメの話は出来ないじゃない?
付き合ってることは、秘密だし」

「お前が勝手にそう決めたんだろ」

「だからね、麗子さん達といると、聞いてくれるのが嬉しくてつい話をしちゃうの♡」


布団を美和の体にかけながら、肘をついて横向きに寝そべる。


「だから、何の話をしてんだよ?」

「お魚の骨を取るお箸使いが、とっても上手なんです♡」

「…………!」


俺の胸に顔を埋めて、猫みたいにゴロゴロしながら、美和は楽しそうに笑った。


「掃除機をかける時、さりげなく物を持ち上げてくれます」

「…………」

「朝起きると、髪を撫でておでこにキスしてくれます」

「…………」

「道を歩く時も、エレベーターに乗る時も、レストランに行く時も
いつもレディファーストしてくれます」


小さくて細い指を、ひとつひとつ折り曲げて

美和はそれからも、大したことのない俺の日常を挙げていく。

最後に残った小指を、俺の顔の前に近付けると

花が咲いたように、今日1番の笑顔になった。



「………私を見続けてくれるって

大好きなヒメが、約束してくれました♡」
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