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片想いの行方 2
第6章 ★君のままでいい
「姫宮、俺その前にトイレ行ってくるわ」


彼よりも年上の男性が、そう言って離れたタイミングで

私は思わず、その後ろ姿を呼び止めた。


「……あ、あの……!」


私の声で、彼が振り向く。

……尋常じゃないくらい、心臓がバクバクと音を立てる。


「あの……」

「ん?」

「お、教えて頂きたいことが……」

「え?俺?」


………ゴクリと唾を呑んで

私は、頭の中が真っ白なまま続けた。


「……硬派で、全く隙のない完璧な男は
恋人にも、同じ完璧を求めますか……?」


……………


……お互いの間に、沈黙が流れる。


「………………」


彼の深い瞳が、私をじっと見つめた。

その真っ直ぐな視線で、ハッと我に返る。

……わ、私………

なに唐突にこんな質問を……!


「も、申し訳ございません。
意味不明な事を言い出しまして……!」


バカ……!

私、何を言い出すの……!

彼は私を知らないし、彼じゃない可能性だってあるでしょ。

……例え、彼が本当に蓮の親友だとしても

私とは初対面なのに

絶対変な女だと思われたに違いない。


………でも

この人が、もう1人の蓮な気がして

蓮と同じ、完璧な男の雰囲気が漂っていたから

無意識に口から出てしまった。


恥ずかしくて、深々と頭を下げると

彼は私に一歩近付いてきた。
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