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例えば、こんな...
第6章 バレンタイン企画
店だけで佐伯さんと桐生さん、接点のない金場やホールの木田さんと石井の分も渡された。もう、五人。
真純と一緒に来るナイトは日によって重ならないヤツもいるけれど、覚えてる顔は七人くらいか?真純の事だから、世話になった上司には必ず渡しそうだから、もっといるだろう。

どんな顔して渡したの?
桐生さんに渡す時みたいに赤面した?
佐伯さんに渡す時みたいに少しどもった?
まさか、会社で二人きりのシチュエーションとかはない、よな?

…………

何だろ。
苛々する……

丁度入ってきた電車に二人で乗った。
日曜の終電の一本前。中はそれなりに混んでいる。隣の男に触られない様、腕を回して真純の肩を抱き寄せた。
「ん……ありがとうございます」
胸にぴったり頬を寄せ、遠慮がちに身体も寄せてくる。
「揺れるから掴まってて」
「はい……」
声を掛けると素直に腕を掴まれた。
ガタンと揺れて走りだす。
「あっ」
その揺れを利用して真純の頭に口元を埋め、腰に滑らせた腕で身体を密着させた。
ふわりと香る甘い香り。
俺の好きな、真純の香り……

これを知ってるのは俺だけにして?
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