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例えば、こんな...
第6章 バレンタイン企画
真純を守るように抱いたまま電車に揺られる。大きく傾ぐ度にきゅっと縋り付かれて、地味に嬉しい。
触れていればなぞりたくなるのは当然で、一応は公共の乗り物の中。真純の火照る顔を人目に晒すのも不本意なので我慢する。
そう、俺は抑えたつもり。
でもホームに降り、人が少なくなるのを見計らったように真純に涙目で睨まれた。
「電車の中でエッチな触り方するのやめて下さい」
震える小声は明らかに熱を帯びていて

……俺、結構我慢したんだけど?

エロい俺の指が悪いのか、感じやすい真純の身体が悪いのか。
まぁ迫力のないその睨みが可愛いから俺が悪い事にしておくか。

「ごめんね」
謝った俺を意外そうに見つめてる。だから
「早く帰って風呂に入ろう?」
彼女の小さい手を引っ張った。

家に向かう道すがら、真純にチョコの話を振ってみる。
「店にもたくさん持ってきてたけど、会社の分も合わせると、いくつチョコ用意したの?」
「んー……十四?」

何で疑問系?

「結構あるね」
「はい。……去年はみんなにお世話になりましたから」

『お世話』ね……
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