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例えば、こんな...
第6章 バレンタイン企画
赤く潤んだ目、少し上気した頬。華奢な首に細く編んだプラチナのチェーンが映える。左右の鎖骨の中央、窪みの少し下でムーンストーンと淡いピンクダイヤで彩られた雫が揺れている。

うん、悪くない。

「良いね」
笑って頷いた俺を真純が見上げてくる。今にもこぼれ落ちそうな涙。
「真純、愛してる」
そっと左右の目尻に口付けた。
本当はバレンタインなんて関係ない。真純に俺の名札を付けたかった、だけ。
細工を施した留め具には癖があって目で見ながら、コツも知らないと外せない。これは見てくれの良い、首輪。留め具に俺の名前を刻んであるのは秘密。

……病んでんな

「ありがと、ございます」
そうとは知らず、涙をこぼす真純。

ごめんね、俺余裕なくて。

額にチュッと口付けて真純の身体を抱き寄せた。
「どういたしまして」
真純が猫を抱えたまま俺に縋りついてくる。
甘い香りにこのまま誘われたい。
でもそっと腕を緩めた。
「乾杯しようか?」
「はい」
涙を滲ませたまま見上げてくる笑顔は本当に可愛くて、唇を重ねたくなるのは当然の摂理。
「んんっ……やっ……まっ……」
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