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例えば、こんな...
第6章 バレンタイン企画
座らせたはずの真純は脚をおろしたまま、猫を胸に抱いてベッドに倒れていた。
「真純?」
声を掛けるとピクッと震えて目が開く。
「あ、大丈夫です」
少し擦れた声。気だるそうに上体を起こそうとする彼女を手伝って、隣に座った。
「大丈夫?」
覗き込むと真純の頬がじわりと赤くなる。
「だ、大丈夫です」
吐息の交じる応え。
「自分で出来る?」
ゆっくりタオルに視線を移して小さく頷いて。
「出来、ます」
「うん。じゃあ、はい」
動作の緩慢な真純の手にタオルを渡して立ち上がった。
「向こうで待ってるから」
「……はい」
見上げてくる、熱を帯びたままの眼差し。

そんな顔してると襲うよ?

「大丈夫?」
もう一度確認してしまうのは下心。
「……はい」
コクンと頷かれ、寝室を出る事にした。傍にいたら確実に押し倒す。
廊下で一つ大きく息を吐いてリビングへ。

ワインクーラーにシャンパンと氷とを入れ、フォンダンショコラを暖めていたらドアの開く音がした。
振り返って着替えを済ませた真純と目が合った。まだ頬が赤い。フワリと裾の拡がる淡いピンクのワンピース。それはいつも彼女が来てる室内着。首元で揺れる雫に口が緩む。
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