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暁闇
第2章 花冠の……
――そして、それは定刻通りに始まった。
会場内に入ってきた、ふたり。
葉月先輩の腕を取りながら、笑顔で歩く桜井。
「……琴音、可愛いよお……」
隣で坂本が呟く。
桜井は白いワンピースを着ていて。
下ろした髪に淡い色使いの花冠が。
やばい……まじで可愛いし。
思わず見とれていると
「琴音~」
隣で、ぐすぐすと鼻をすする音。
バックからハンカチを取り出すと、目元に当てて。
「……え。何おまえ泣いてんの」
「うるさいっ。村上だって見とれてたじゃんっ」
「……そんなんじゃ、ねーし」
ばれてたことに少し動揺しなから、そう答えて。
そのまま坂本に聞いた。
「なあ、なんで泣くの」
「そんなの琴音が幸せそうだからに決まってんでしょ!」
即答して、そしてまた桜井の名前を感慨深そうに呟く。