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暁闇
第13章 混乱
「あおいさんと出会ったときに、そのときの俺の気持ちは全部話したけど」
並んでゆっくり歩きながら、翔悟くんは話し始める。
「あのとき、ちゃんと桜井を諦めようって思えたのは、間違いなくあおいさんのおかげだった」
「……私、の?」
「ん。あおいさんがいてくれたから、決められた――――」
翔悟くんのその、静かな言葉。
「そのあと、丈とも仲良くなって。
あおいさんともよく会うようになって。
会う度に、気になっていったというか……あおいさんを想うことがだんだん増えていって」
そっと、横を歩く彼を見る。
少し俯き加減で歩いていた翔悟くんは、不意に天を仰いだ。
「いつの間にか、桜井のことを思い出すときが少なくなってて」
そのまま、呟くように言って。
「……それって、あおいさんに気持ちが動いたからだと思った」
顔を戻しながら、私を見る。
目が合うと同時に、鼓動が少し速まる私の胸。
逸らせずにそのまま視線を受け止め続けると、翔悟くんは足を止めて、身体ごと私の方へと向けた。