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暁闇
第13章 混乱
「あおいさん」
私の足も、止まる。
「……正直に言うけど、たぶん俺、桜井を完全に忘れるってことはできないと思う」
「翔悟くん――――」
「でも。それは過去に好きだった存在としてで……決して、今じゃなくて」
その真っ直ぐな、目。
「今の俺が好きなのは、あおいさんだけ」
その瞳が、不意に揺れた。
はあ……と、深く、息を吐く。
「それじゃ、だめですか」
「翔悟くん……」
「今、俺が一番会いたいのは、一番話したいのは、あおいさんで」
あおいさんだけで、と小さく呟いて。
「――――っ」
不意に、その表情が崩れた。
そして。
「……そばにいたいんです」
苦しそうに細められたその目。
私の胸までなんだか苦しくなる。