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暁闇
第13章 混乱
「桜井くんのことは、もういいの」
「あおいさん……」
「最初から、諦めてたから。
好きになったときから、叶わない想いだって知ってたから」
だから、違うの。
「翔悟くんと初めて会ったあのとき、翔悟くんに気持ち、話して。
話してるうちに、なんだか私の中で整理がついたの。翔悟くんと同じように」
「じゃあ――――」
「……きっと私、琴音さんが好きな桜井くんに惹かれたんだと思う」
口にして、うん……と、自分で自分の言葉に頷いて。
「あんなふうにひとを愛せるなんて、って。
その一途さが、すごく素敵に思えて」
だから……。
きゅっ、と。
私は唇を噛んだ。
「桜井くんのことは、本当にもう大丈夫なの。
もちろん……翔悟くんがさっき言ったみたいに、私の中から完全に彼を消すなんてことはできないと思うけど……。
でも、好きだとか、これから桜井くんとどうにかなりたいとか、そんな気持ちじゃないの」